乳頭亀裂の原因

先月、はじめて来院されたNさん。

・産後すぐから授乳をすると乳首が切れて痛い

・痛みが強いのでその間は搾乳して乳首を休ませるが搾乳するのも痛い

・授乳を再開するとまた切れるのを、生後5ヶ月になるが繰り返している

・痛くて満足に吸わせられず母乳の量も減ってきている気がする


というご相談でした。

赤ちゃんと一緒に来院してもらい
まずは授乳姿勢と赤ちゃんの飲み方をチェックしますが
とても上手にできていました。

ママの乳首の長さも柔らかさも問題なし。
白斑もなく、乳房に鬱滞もなし。
詰まりかけると出が悪くなるのと、母乳の味がしょっぱくなるので
赤ちゃんがひっぱり飲みをすることで切れたりもします。

赤ちゃんの口も大きく、
舌小帯も短くなく舌は前に出るし、口蓋の形も正常でした。

生まれて1〜2ヶ月は赤ちゃんの口も小さく
ママも慣れない授乳で、授乳回数も頻回なため
どうしても乳首が切れたりなどトラブルもありますが
もうNさんは5ヶ月もたっています。

乳首が痛む原因は他にもたくさんあるのですが
なぜこんなに長い期間繰り返すのか…?

赤ちゃんの口の中をよーく見ると
ほっぺの内側にミルクかすのように白くなっているところが。
Nさんが
「この前小児科で、鵞口瘡(がこうそう)になってるよと言われて
薬をもらいました」とのこと。

これだー!!

鵞口瘡とは口の中にできるカンジダ感染症です。
赤ちゃんに痛みやかゆみの症状はなく、自然治癒することもあります。

しかし鵞口瘡のまま授乳を続けると
このカンジダ菌は乳首に移ります。
乳首は母乳や汗などで湿潤し、菌が繁殖しやすい状態です。
Nさんはしっかりとした生地のブラジャーに母乳パットも当てていて
通気性がやや悪い状態であり、
カンジダ菌にはうってつけでした。

カンジダ菌に感染した乳首は組織も脆弱になり
少しの刺激でも乳首が傷つきやすいです。

これしか原因が見当たらないので
赤ちゃんの鵞口瘡の治療をしっかりすること、
Nさんは綿100%の通気性の良いブラジャーに変えて
しばらく母乳パットを外すこと、
乳首を清潔にすることをお伝えしました。

あれから1ヶ月ほどたち、
その後どうなったのか気になり連絡させていただいたところ、
「あんなに痛かったのが嘘みたいに良くなりました」と!
良かったです。

そもそもなぜ赤ちゃんが鵞口瘡になるかというと、
1番多い原因は出産のときの産道感染です。

妊娠中はとくに免疫力が落ちてカンジダ膣炎になりやすく、
かゆみや白いおりものが出ることもありますが
無症状であることも。
妊婦健診で見つかるのはよくある光景です。
カンジダは常在菌なので性感染症とは違います。

カンジダは湿潤した環境を好むため、
妊娠中は綿100%のショーツにして、
おりものシートはつけない(通気性が悪いため)
おりものが気になればショーツごとこまめにはきかえます。
お風呂の時に泡でゴシゴシ洗うのではなくお湯で流す程度で良いです。
(常在菌まで洗われてしまうため)

カンジダ菌は授乳のトラブルの原因になることもあるので
妊娠中にカンジダの指摘があれば、
出産までには治しておきましょう!












しお助産院

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