授乳がうまくできない

先日、退院後すぐに来院されたIさん。

「授乳がうまくできずに時間がかかり、
ちゃんと母乳を飲んでくれているかわかりません」
というご相談。

来院されて、授乳の様子をみてみます。

赤ちゃんがおっぱいを吸う角度を調整し、
ママの手や肩が負担にならないよう
クッションやタオルで高さを合わせます。

「スムーズに吸えてる!」
「乳首が全然痛くない!」
と、嬉しそうなIさん。

両方の乳首に大きなかさぶたができていて
とても痛かったと思います。
授乳のたびに痛みに耐え、
保護クリームを塗られていました。
(本来、乳頭にぬる保護クリームは
傷を治す薬ではなく、
乾燥による肌荒れを予防するものです)

赤ちゃんの吸い方が浅くゆがんでいたので
かさぶたがどんどん大きくなっていました。

そしてその飲み方だと
せっかく母乳が出ていてもうまく飲みとれず、
赤ちゃんは途中で何度も口を離したり
頭を振って乳首を離して
「うまく飲めないよ」とサインを出します。

それでもママは産院で習ったように
一生懸命、乳首を口の中に入れようとします。
ついつい力が入るので
赤ちゃんにとっては居心地悪く、
ママも肩や背中がものすごく凝るのです。

ママになってまだ数日のIさん。
そしてこの世に生まれてきてまだ数日の赤ちゃん。

お互いうまくできなくて当たり前です。

お産の疲れもまだ残っています。

ママもそうですが、赤ちゃんも同じです。
羊水の中にぷかぷか浮いていた無重力の空間から
一気に重力のかかる空間に出てきて
この地上に慣れるまでは時間がかかります。

疲れるのでこんこんと眠り続ける赤ちゃんもいれば
不安で泣き続け、抱っこじゃないと落ち着かない赤ちゃんもいます。

ママだって産後の傷の痛み、お腹の痛み、
いろんなところが痛い中で
産後のホルモンはジェットコースター。
精神的にも不安定です。

2人とも大変な産後すぐに
「頑張って上手に授乳をしなきゃ」
と、焦らなくて大丈夫です。

母乳量が増えてくる、軌道にのるまでは
とても個人差があります。

母乳育児はスタートが大事になりますが
産後、数日間の入院中に完全母乳になる人の方がまれです。
3〜4ヶ月かけて完全母乳になる人もたくさんいます。
だから他の人と比べないでくださいね。

母乳育児でやってみたいなと思う方、
まずは今、授乳が痛い、つらい、しんどい!と感じるなら
早めに来院してみてください。

赤ちゃんが乳首を吸うことで
母乳をつくるホルモンはどんどん出てきますが
「痛い」感覚は、そのホルモンを低下させます。
もったいないです。

母乳量を増やすのにも、赤ちゃんが上手に吸うのにも、
生後できるだけ早くから介入させていただければ
改善も早いです。

反対に、赤ちゃんが吸わなくなってしまい、
搾乳もしておらず、3日以上たってしまうと
母乳をつくるホルモンは止まります。
さらに1週間ほどたつと
それからどれだけ授乳やマッサージをしても
母乳がふたたび出ることはとても難しいです。

授乳が痛くなく、つらくなく、
母乳育児を続けていただきたいです。

授乳の時間が
幸せだな〜…かわいいな〜…と、
しみじみ思えるような
お手伝いができればと思います。

断乳、卒乳するそのときまで
私も伴走させてくださいね。




しお助産院

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